インプラント治療

 「インプラント」という言葉の意味は、「体内に埋め込まれる器具」の総称です。医療目的で埋め込まれる器具類(心臓ペースメーカー、人工内耳、骨を固定するボルトなど)から、美容目的、豊胸目的、ファッション目的で埋め込まれる器具も「インプラント」と呼ばれます。
 歯科の分野で「インプラント」と言えば、「デンタルインプラント」を指し、「人工歯根・口腔インプラント・歯科インプラント」とも呼ばれます。

 インプラント体と呼ばれる「金属のねじ」をあご骨に埋め込み、その上に人工歯冠・上部構造体と呼ばれる「歯」の部分を装着します。他の治療(入れ歯など)から比べると、自分のあごにしっかり固定されるため、噛み心地などは自然な状態に近く、残った健康な歯を削らないためそれらに余計な負荷をかけない特徴があります。

 しかし、骨にボルトを埋め込むため強い負担がかかるので、しっかりとした骨が必要になります。時として骨を丈夫にする手術が必要になります。

 インプラントが馴染みしっかり咬めるようになるまでに、最低でも2回の手術、7回以上の通院、6ヶ月以上の時間が必要となり、植込み後も定期的な受診が必要となります。

インプラント治療をもっと詳しく・学術論文からの引用もあり、専門用語を用いた難しいお話しです。


インプラント治療のメリット

  • インプラントは、ブリッジのように周囲の健康な歯を削る必要がない。
  • 噛む能力や違和感に関しては、自分の歯とほとんど変わりがなく、噛んだときの痛みは少ない。
  • インプラントの歯をセラミックス(陶材)で作製した場合、審美面(見た目)がきれい。
  • 義歯を支える土台としても使用可能で、義歯の性能を向上させることが可能。
  • インプラントの周りに骨がつくので、あごの骨が”痩せる”のを予防できる。

インプラント治療のデメリット

  • 保康保険適応ではないため、検査・治療に関する全ての費用が自己負担となる。
  • インプラント体をあご骨に埋め込むための手術が必要になる。
  • 全身の状態や口腔内の状態・骨の状態で、インプラント治療が行えないことがある。(骨が足りない場合は、骨の移植や骨を増やす治療もある)。
  • インプラント周囲炎(インプラント周囲にも歯周病と同じような病態)になる可能性がある。
  • 人工の材料であり、破損する可能性がある。
  • 自己管理ができない、定期的な受診(定期健診)ができない方では、インプラント治療が行えないことがある。
  • 他の治療と比較し、歯が入ってからしっかり咬めるようになるまで時間がかかる。(場合によっては一年以上)

インプラント植込み時の偶発症

上顎洞穿孔
上あごには、「上顎洞」と呼ばれる空洞があります。時に親知らずを抜くとここに繋がってしまう方もいるぐらい、骨が薄いです。そのため上あごにインプラントを植え込む際に、ここまで穴を開けてしまう可能性があります。
下歯槽神経損傷
下あごの場合、骨の中に神経・血管が通るスペースがあります。植え込む際にここまで穴を開けて神経を傷つけてしまうと、舌や口唇に麻痺や違和感が出ることがあります。
動脈損傷
上記と同様に、血管を傷つけた場合、大出血が予想されます。
隣接する歯根損傷
植え込もうとしている歯が、中間にある場合(歯と歯に挟まれた場所)にインプラントを植え込むスペースが狭くなり、その結果両側の歯根を傷つけてしまう恐れがあります。
粘膜損傷
骨に穴を開ける際の角度を誤ると、口腔粘膜まで突き抜けてしまうことがあります。
骨の熱傷
骨に穴を開ける際に、骨が硬すぎると上手く削れず、長時間削る必要があり、摩擦熱により骨に火傷を負わせてしまいます。

偶発症は、手術前の検査・手術シミュレーションを行うことにより、発症を防止することが可能です。


インプラント治療後の合併症・併発症

インプラント周囲炎
インプラントは人工の歯なので虫歯にはなりませんが、歯周病のような、インプラント周囲炎を起こす恐れがあります。
感染症
体内に”モノ”を埋め込むため、感染症を起こす事があります。

合併症・併発症は、手術後の定期的な受診により発症を予防、または発症したとしてもより軽症に押さえることが可能です。


当院でのインプラント治療の取り組み

 当院では、ステントを作成後、あご骨まわりのCT撮影を行い、事前に骨の状態や骨の中の血管・神経などの位置、インプラントを入れる位置を確認しています。

 ステントとは、マウスピースのような形状をしており、インプラントを植え込む際の補助具です。

 人工の歯を入れるわけですから、かみ合わせはもちろんのこと、周囲の歯に合わせて大きさや傾きなど、歯の設計をする必要があります。その補助となるのがステントです。上下の歯形をとり、これに合わせてステントと呼ばれるマウスピースを作成します。

 このステントを装着した状態で、CT撮影を行い、どこにインプラントを入れ、どのように歯を並べられるかを調べます。同時に、撮影データを使いパソコン上で手術シミュレーションを行うことにより、手術前に上記の偶発症・合併症などの手術リスクを評価していきます。

 このように治療後の歯がどのようなものになるのか、治療前からしっかりと決めていきます。また喫煙や歯ぎしりなどは、インプラント治療にとって影響があるため、これらの影響が少なくなるように一緒に考えていきます。


このように3Dで表示することでき、好きな方向へ回転でき、任意の場所の割断面も表示できます。
ピンク色の部分を縦に割って画像を表示させます。
赤い矢印で指した部分が、あご骨の中の動脈・神経が通る穴です。

赤い四角の様にインプラント体を埋め込みます。
動脈・神経の穴まで突き抜けず、さらにちゃんと骨の中に収る長さや埋め込む角度をパソコン上でシミュレートを行います。
また、シミュレーションを行った角度を寸分違わず行うために、ガイドと呼ばれるマウスピースを作成します。

ステントは「歯を設計するためのもの」で、ガイドは「手術をするためのもの」と考えて頂ければ良いでしょう。


当院におけるインプラント治療の一般的な流れ

1.問診既往歴や埋める本数などの問診・カウンセリングを行います。
2.検査歯型を取りステントを作成後、あご周りのCT撮影を行います。
3.診察問診・検査結果から手術のリスクや治療後の結果などを説明し、今後の治療の計画を立てます。
4.一次手術あご骨にインプラント体(金属の土台、ねじ部分)を植え込みます。
骨が足らない場合は、骨移植も同時に行います。
5.二次手術一次手術から3~4ヶ月後に行います。
インプラント体の”頭”を出します。アバットメント(上部構造体を固定するため支台部分)を作成し、プロビショナルクラウン(仮歯)を被せておきます。
6.型取り二次手術から6週間後に行います。
周囲の歯の形に合わせて、新しく作る歯の型を取ります。
7.上部構造体の作成型取りから約2週間後です。
いわゆる”歯”の部分を作ります。かみ合わせなどの調整を行います。
8.メンテナンス上部構造物の作成から1週間後です。
かみ合わせや合併症の確認、インプラント維持のための処置や指導を行います。
この後は定期的に受診していただき、維持のための処置を行います。

※アバットメントとは・・・あご骨内に埋め込んだインプラント本体と、上部構造体を接続するための支持体を指します。

 二次手術では、ヒーリングアバットメントを装着しますが、これは周囲組織の治療および形態の誘導を目的としており、後日の上部構造体の設計や装着を容易にするために装着されるものです。


インプラント治療の値段・料金表

お口の状態・あご骨の状態により追加の処置・手術が発生する場合は、下記の値段の合計額とは異なることがあります。(平成26年度現在 税別)


項目金額(税別)
相談料0円
研究用模型作成600円
ステント作成10,000円
あご骨のパノラマ撮影3,000円
CT撮影(片顎)12,000円
CT撮影(両顎)17,000円
手術シミュレーション5,000円
術前の血液検査・心電図必要に応じ、個別に行います。
血液検査 30,000円
心電図 1,300円
ブラッシング指導料・清掃3,500円
一次手術1本あたり 250,000円(薬剤費込み)
二次手術0円(ヒーリングアバットメント代含む・薬剤費用は別途)
アバットメント作成・装着1本あたり 30,000円
プロビショナルクラウン(仮歯作成)1本あたり 30,000円

上部構造体(見た目)について

上部構造体は素材により、値段が変わってきます。
値段が高ければ良い、見た目が良ければ良い、とは一概には言えません。よく相談の上、ご自分に合った素材を選ぶのが良いです。

項目説明耐久性審美性金額
金属冠金属製のため耐久力が高く、長持ち。
しかし見た目は銀歯のため審美性は良くなく、金属アレルギーの影響がある。
×1本 
20,000円~
エステニア
ハイブリットセラミックス
セラミックスとプラスチックの混合素材。
自然の歯の色に近いが、プラスチックを含むため長期の使用で変色しやすい。
万が一かけてしまっても、口腔内で修理が可能な場合がある。
1本 
70,000円~
メタルボンド歯の部分がセラミックス製で土台が金属製です。
透明感のある仕上がりになるため、審美性は良く変色しにくい。また土台が金属製のため耐久力は高く、奥歯に使用できる。
金属を使用するため、金属アレルギーの影響がある。
1本 
70,000円~
ジルコニア人工ダイヤモンド製。耐久性・審美性も良く、より自然な感じとなる。
しかし固いため、かみ合せの歯を痛めてしまうことがある。
1本 
100,000円~

項目説明金額
インプラントオーバーデンチャー(下顎のみ)義歯を固定する方法により数種類あり、入れ歯安定剤よりも義歯が安定します。
また取り外しも自由にできるため、メンテナンスも比較的簡便です。
950,000円から
定期健診・メンテナンス問診、診察、口腔清掃などの処置他1回 : 3,500円

オプション

項目金額
静脈内鎮静法10,000円
骨誘導再生1歯あたり : 50,000円
メンブレンS20,000円
メンブレンL25,000円
チタンメッシュ60,000円
ソケットリフト1歯あたり : 70,000円
サイナスリフト1歯あたり : 200,000円