グループ代表ごあいさつ

理事長 西松輝高

理事長 西松 輝高

 我々に深く関係する社会保障関係費は現時点で31兆円を超え、国家予算96兆円の約3分の1に達しています。一方団塊の世代が全員75歳以上となる2025年の後期高齢者数は推計およそ1,600万人であり、2015年からのわずか10年間で4割も増えるため、その介護に係る費用も現在の約10兆円から21兆円に倍増するとともに、対応する専門職は40万人近くも不足すると見込まれています。これらの数字が示すところは、我が国では近い将来、医療・介護に係る予算も従事者も不足し、やがては国家財政の破綻をも招く恐れが現実にあるということです。  周知のとおり今年は6年に一度の医療(診療報酬)介護報酬同時改定の実施年でもありますが、さらに第7次医療計画、第7期介護保険事業計画、第3期医療費適正化計画などもスタートするため、厚労省の幹部の間では“惑星直列“などと呼ばれています。また次の同時改定は2024年になることを考えれば、今回の同時改定が2025年を前にした準備段階としては事実上最後のものとなります。つまり、今回の同時改定への対応と、今後1~2年の組織の舵取りが、2025年以降の超高齢社会における組織の存亡をかけた重要な局面となることは明らかです。この点を踏まえても、2年に一度医療、3年に一度介護と、改定の度に組織の方向性が朝令暮改されるようでは組織の将来が危ぶまれます。
 こうした現実を直視し、典型的な人口減少、高齢人口割合増加地域の群馬県北部にある輝城会グループでは、地域の将来の医療・介護ニーズを見紛うことなく、健全で公益性の高い組織運営を行うことが使命であると、職員全員があらためて胸に刻み込まなければなりません。

 昔の話ですが、今から20年前の平成9年の元旦、私は輝城会グループの標語として「先手必勝」という言葉を掲げました。「先手必勝」とは、常に新しいことにチャレンジしなさいという意味ですが、どんなに大変でも新しいことにチャレンジしてそれを成し遂げれば、あるいは成し遂げられなくても、必ず自分にも組織にも、最終的には地域全体にも幸福をもたらしてくれると確信してきたからです。今でも私はこの「先手必勝」をひとつの経営理念として職員に示していますが、まさに先行き不透明なこの時代にこそ、職員全員で知恵を出し合いながら、先の先まで見通す力を蓄え、計画性を持って新しいことにチャレンジすることによって、組織の、そして地域の明るい未来を切り開くことができると信じています。

 昨年、沼田脳外では3年に一度の適時調査と5年に一度の病院機能評価、さらに1年に一度の医療監視が9月のある1週に集中するということがありました。私はこうした事態にも十分対応できるように従前から周到な準備をしておいたことと、沼田クリニック・吾妻脳外からのサポートもありましたが、今回の調査・審査を無事に終えた背景には、職員が組織の中で自分の担当すべき機能を理解できるようになったことと、「当たり前のことを当たり前にやる」という精神が根付いてきたことがあると思います。自分たちで選んだ日程ではないにせよ、調査・審査という大きなイベントを短期間のうちにすべて受け入れたことは、結果的に「先手必勝」を実践したようなものであり、こうした経験が組織をより強くするとともに、職員が将来を予見できる力を養ってくれると思っています。今後は、リハビリ部門のやる気のある若手を介護施設管理者に抜擢するといった分け隔てのない人事交流などを通じ、今回のような経験から得られた果実が広く組織全体に浸透していくことを願っています。

 ここで、平成29年の輝城会グループの歩みや平成30年の計画などを簡単に振り返ります。
 平成29年は、主にソフト面で将来に備えた措置を講じました。沼田脳外では、眞下副院長を医療安全の責任者に任命したほか、髙橋救急部長が県内14人のメディカルコントロール検証医に就任し、沼田脳外のDMATチーム立ち上げにも尽力しました。また9月からは県立心臓血管センターの熊谷先生による心房細動に対するアブレーション治療を可能にしたことで、急性期病院としての機能の幅を広げることができたと思います。さらに沼田クリニックでは、医療顧問である柴山勝太郎先生の泌尿器科外来開設を筆頭に、他の診療科でも優秀な先生方による専門外来を増設し、地域のかかりつけ医としての機能に厚みを持たせることができましたが、同時に患者さんの負担軽減のためお薬の見直しや、待ち時間短縮のための工夫なども怠らぬよう指導しています。なお今年は沼田クリニックで実施している消化器内視鏡検査を沼田脳外に集約し、ドック・健診部門の強化も視野に入れた「消化器内視鏡センター」を新設することで、予防医療にも一層力を入れていく計画です。一方吾妻脳外では、昨年開設した県内唯一の診療所型認知症疾患医療センターが軌道に乗り、少しずつではありますが吾妻地域の認知症患者さんとそのご家族に対する貢献度が増してきています。また城西クリニックでも今後はドック等の予防事業に力を入れていく必要性から、そのための営業活動を積極的に展開しています。

 他方介護事業部門では昨年、沼田・吾妻地区ともに硬直化した人事配置を見直し、管理職を中心に各々が持つ「強み」を活かせるように改編したことで、地域の利用者の方々との結びつきが一層強まることを期待しています。また、4月にオープンしたぬまたとね総合在宅ケアセンターの介護相談スペースである「カフェなごみ」が好評ですが、地域の皆様が気軽に立ち寄れる交流広場として、今後もより多くの方々にご利用いただけるよう工夫を重ねながら、今年は吾妻地域でも同様に介護相談カフェのオープンを計画しているところです。そして、今秋開所予定の「なごみの杜沼田市本町通り整備計画(特養サテライト、看護小規模多機能施設)の準備も昨年来着々と進めてまいりました。

 このように輝城会グループでは、ハード面における平成27年の沼田脳外救急棟増築また城西クリニックが入る前橋の輝城会ビルの取得に始まり、本年の同時改定への対応と、なごみの杜の沼田市本町通り整備事業を終えれば、ひとまず2025年に向けた最低限の準備を整えたかたちになりますが、休む間もなく次は2040年を睨んだ新たなるチャレンジが控えています。
 前述のとおり、我々はいつもこの地域の将来のことを考え、地域とともに歩み、地域の皆様の信頼の上に成り立っていることを忘れてはなりません。